公開された
2nd 9月 2020

水素ガス発生装置の仕組み、およびよくある質問や誤解に対する回答や解決をご覧ください。

水素 ガス 発生装置 の仕組み

水素ガス発生装置では、プロトン交換膜(PEM)を用いて水から水素ガスが生成されます。PEM電池は元々NASAによって開発されたもので、産業やラボで広く使用されています。

水素の製造

宇宙において水素は最も豊富な元素ですが、気態としては地球上では自然に発生しないため、製造する必要があります。産業界では、炭化水素燃料から炭素と水素原子を分離する水蒸気改質と呼ばれるプロセスを用いて水素(g)が大量に製造されています。水素は、燃料やキャリアガスとしてガスクロマトグラフィー(GC)で、また衝突ガスとしてICP-MSで用いられるなど、様々な用途のためにラボで使用されています。さらに、化学産業ではアンモニアやシクロヘキサン、メタノールを合成するため、また食品産業では脂肪を形成するための油の水素化に利用されています。

著しい研究開発により、より安全で環境に優しく、より効率的かつコスト効率の高い方法で、ラボ、製造、産業用に要求量に応じて水素ガスを製造することができるようになりました。その安全性は非常に改善されており、水素ガスは現在、いくつかの輸送車両においても使用されています。車両の燃焼の副産物が水であることから、水から生成されるガスがクリーンな「無公害」燃料として利用されているのです。

この記事では、職場における水素発生装置の安全な使用に関して、世界中の健康、環境、産業、試験、医療、およびラボから寄せられたいくつかのOHSとFAQへの回答をご提供します。

水素ガス発生装置はどのような仕組みになっていますか?

要求量に応じて高純度の水素を製造する最良の方法は水の電気分解です。発生装置の最も重要な要素は、電気分解反応が発生する電解槽です。槽は、イオン交換膜によって分離されている2つの電極(アノードとカソード)で構成されています。最も高い純度の水素を製造するために、電極にプラチナ触媒が用いられています。

電圧が電解槽の電極に連続的に印加されると、以下の反応が発生します。-

PEM電池内の電解の図

 

アノード(正に帯電した電極)では、水分子が2つの電子を失い、1つの酸素分子と4つの水素イオンが形成されます。

アノード 2H2O - 4e = O2 + 4 H+

この反応の半分で生成された酸素が、発生装置の後部から大気中に安全に排出されます。生成された4つの水素イオンは、イオン交換膜(負に帯電したカソードに引き寄せられる)を通過し、4つの電子が集められて2つの水素分子に還元されます。

カソード 4H+ + 4e = 2H2

生成された水素は、分子状酸素を通さないイオン交換膜によって酸素から分離されます。

さらに詳しい情報がありますか?    

水素ガス発生装置を使用するべき理由は何ですか?

水素ガス発生装置は、水素の高圧ガスボンベの代わりとして使用できる安全かつ便利な手段で、これを利用することで一般的にコスト効率がより高くなります。水素発生装置を利用することで、分析結果に影響を与えるガス品質変動の危険性が排除され、一貫した純度の水素を供給することができます。

また、発生装置により、必要量のガスを無休で生成することが可能です。つまり、肝心なときにガスがなくなるという心配がありません。水素発生装置を導入することで、ガスボンベを注文したり交換したりする必要がなくなるため、その分の時間をもっと有益に使うことができるようになります。


発生装置は環境に優しいガスボンベ代替手段で、ラボ用途のためにガスを供給することができます。一度設置すれば、ガスボンベのように交換の必要性もなく、メンテナンスもラボ内で実施することができます。発生装置を設置すれば、トラックで交換用のガスボンベや空のシリンダーを運搬する必要がなくなるため、ラボの二酸化炭素排出量を削減することにもつながります。

水素キャリアガス

現在、多くのラボでは、年々価格が上昇しているヘリウムの代わりに、キャリアガスとして水素が使われるようになっています。水素の粘度はヘリウムの約半分であるため、水素キャリアガスを使用することで、サンプル分析のスループットが向上し、平均的に分析時間が短縮されます。水素キャリアガスに切り替えることで、多くのラボは分析にかかる時間を半分に短縮することが可能です。

水素を使用することで、カラムなどの消耗品の使用量も削減することができます。これは、製品の溶出温度が低いために、オーブンの温度も低くて済むためです。また、GC-MSでは、水素によりイオン源の構成要素が継続的に洗浄されるため、水素キャリアガスを使用すれば、イオン源の洗浄頻度を大幅に削減することが可能となります。したがって、ダウンタイムが減少します。

食品のFAME分析、オイルとガスの詳細炭化水素分析(DHA)とSIMDIST、および環境分析のEPA 8270といった方法など、多くの用途でヘリウムキャリアガスの代わりに水素を使用することができます。キャリアガスの変更に関する重要な手順の詳細については、ここで概要をご覧ください。

ダウンタイムを最小限に抑えて、ガスボンベから発生装置に切り替えることができますか?

通常、シームレスに切り替えを行うことができます。水素ボンベから発生装置に切り替える場合は、既存の配管をガスボンベから取り外して、SwageLok継手を用いて発生装置に接続することができます。ヘリウムから水素に変更する場合は、常に新しい配管が必要となります。

水素発生装置は安全ですか?

Peak Scientificの水素発生装置のガス容量は300cc未満ですが、ガスボンベには非常な高圧(2,000〜3,000psi)で最大9,000Lのガスが詰まっています。Peak Scientificの水素ガス発生装置シリーズでは、ガスクロマトグラフィー(GC)の要求量に応じて、定められた流量(最大0.5L)と圧力(最大120psi)でガスが生成されます。

発生装置はどれくらい安全ですか?

Peak ScientificのPrecision水素ガス発生装置には、自動シャットダウン機能に加えて、内外部の漏れを連続的にチェックする機能が備わっています。

  • 起動時の完全な診断チェック
  • 稼働中の圧力に基づく漏れチェック
  • 水素生成セルの分離による自動シャットダウン
  • 音声と視覚アラーム
  • 発生装置全体の強制換気
  • システム全体における低水素ガス容量(最大0.3L以下)

内部の漏れが発生した場合は、発生装置でガスの生成が停止され、警報と音声アラームを発するHMIタッチスクリーンを介してラボ担当者に警告が発せられます。発生装置の外部に漏れが発生した場合、またはその状態が20分を超えた場合は、ラボ環境やガス供給先の装置に水素ガスが蓄積されるのを防ぐために、発生装置が停止します。また、内部圧力が120psiを超えると、システムが停止します。

水素ガス発生装置を使用することで、高圧ガスボンベの取り扱いに伴う安全リスクが排除されます。発生装置なら、ガスボンベ交換の必要性やダウンタイムがなく、GC分析に手間がかかりません。

当社の安全担当者は、ラボで水素ガスが蓄積されて爆発につながることを懸念しています。これは、水素ガス発生装置でも発生しますか?

水素は空気中の濃度が4.1%~78%になると可燃性となります。たとえば、5m x 4m x 2.5mのラボの容積は50,000Lです。この環境では、空間に2,050Lの水素ガスを1瞬間にして放出しなければ、低爆発レベル(LEL)の水素ガス4.1%には達しません。

平均的な「G」サイズの水素ボンベには、9,000Lのガスが含まれています。このガスボンベが漏れた場合は、全容量のわずか25%が放出されるだけで、上記サイズのラボ空間はLELに達します。

Peak Scientificの500ccのPrecision水素トレース発生装置では、毎分0.5Lのガスが生成されます。この発生装置の場合は、完全に密閉された空間にいるか、またはGC/アプリケーションに接続されていない状態か、あるいは深刻な漏れが発生している状況下ですべての安全機能が完全に故障している場合にしかLELに達することはありません。滅多なことでは発生しそうにはないこのシナリオの状況においても、発生装置を67時間(〜3日間)稼働しないとLELには達しません。

水素発生装置の安全性を評価するための試験が実施されていますか?

Peak Scientificの水素発生装置はCE認証とCSA認証を取得しており、ラボにおける使用と爆発危険性の残留リスクに関する安全要件に関してIEC規格を満たすように外部で試験が実施されています。希釈試験とファン不使用による最悪のケースを想定して評価されています。試験により、発生装置の内外部の最悪条件下でも4.1%の水素のLELに達しなかったため、爆発の危険性は存在しないという結論が出ています。

発生装置はどこに設置すればよいですか?

発生装置は、ラボの作業台や床、またはGCオートサンプラーの下に安全に設置することができます。Peak ScientificのPrecisionシリーズは積み上げ可能な設計になっているため、発生装置をGCや他のアプリケーションの近くに配置することができます。発生装置は平らで水平な面に設置してください。

ラボに設置されているPeak ScientificのPrecisionガス発生装置

 

Precisionガス発生装置は数が増えても積み上げ可能

 

戸棚に発生装置を配置することはできますか?

換気システムを効率的に実行するために、発生装置の周囲に適切な空気流を維持する必要があります。発生装置を密閉された空間に設置する場合は、エアコンまたは換気扇を用いて環境を管理する必要があります。部屋の空気量が1時間に5回入れ替わるように設定してください。

稼働中は発生装置の後部が触れると熱く感じるほどに温度が上昇するため、他の物体から15cm(6インチ)以上離して配置することが勧められます。

通気口はふさがないでください。また、アプリケーションに接続しないでください。
内部のガス蓄積や圧力上昇を防止するために、発生装置は廃ガスが安全かつ強制的に除去されるように設計されています。


ラボの外に発生装置を設置することはできますか?

通常の稼働に必要な推奨環境条件が満たされている限り可能です。まだ配管が設置されていない場合は、配管の長さが短いほどコストが削減され、配管における漏れ未検出のリスクが低下するため、安全性が向上します。可能であれば、発生装置はGC/アプリケーションの近く(10m未満)に設置してください。

GCを換気する必要がありますか?

ヒューム排出機を使用する場合、または発生装置の排気口とドラフトチャンバーの間に配管を接続する場合は、換気が必要となる可能性があります。しかし、GCから排出された水素は迅速に大気中に拡散されるため、ラボの職員や環境に危険が及ぶことはありません。配管が発生装置の排気口に接続されている場合は、何らかの不備によりガスが蓄積し、健康や安全面の問題の原因となる可能性があるため、頻繁な監視が不可欠となります。
水素のLELは4.1%ですが、Peak Scientificの水素ガス発生装置ではこの数値に達しないことが示されています。ラボ環境の大半は密閉されておらず、エアコンなどにより空気が移動しています。懸念があるお客様には、無料の施設評価や設置調査、およびデモをご提供します。

ラボやGCオーブンに水素センサーを設置する必要がありますか?

ラボで生成/排出される水素の量では、蓄積して水素のLELに達することはありません。外部に漏れが発生した場合でも、水素発生装置の安全シャットダウン機能とGC注入口の安全シャットダウン機能が備わっているため、GCオーブン内に大量のガスが蓄積するリスクは極度に低いと言えます。

ラボ、州政府、または事業方針により規制やセンサー、または監視が要求されている場合は、お客様の安心感を高めるために、Peak Scientificから外部の部屋とGCオーブンの両方の監視センサーをご提供します。

非常に専門的な響きがありますが、水素ガス発生装置のメンテナンスは難しいですか?

メンテナンスは非常にシンプルでコスト効率が高く、定期的なメンテナンスにもエンジニアは不要です。週に一度、脱イオン水リザーバーを充填するだけです。半年ごとに予防保全(PM)を実施して、脱イオン装置のカートリッジを交換する必要があります。

Peak Scientificはまた、ユーザートレーニング、Skypeチュートリアル、PowerPoint、詳細なユーザーマニュアル、年中無休の電話によるテクニカルサポート、現場サポートをご提供しています。ここをクリックして、当社までご連絡ください。

1台の水素発生装置で何台のGCにガスを供給することができますか?

典型的な経験則として、100ccで2台のFID検出器にガスを供給できます。必要となるガス発生装置は、流量やキャリアガスの種類、カラム、他の検出器、および独自の方法により異なります。

ここでガス要求量の計算機をお試しください。

または、当社にご相談ください

ROIについて。発生装置は本当にコスト効率の高いのですか?

ガス、配達料、ガスボンベのレンタル代、スタッフのダウンタイム、管理、OHS対策、トレーニングを計算に入れると、通常9〜15ヵ月で投資の元が取れます。

ガスボンベに比べて、水素発生装置のメリットは何ですか?

  • より低い圧力 = より安全(出口圧力:1〜100psi)
  • 流量が制御されているため、安全な水素レベルを維持可能(出口:最大500cc)
  • 内蔵のリークセンサーと自動シャットダウン機能
  • 必要量に応じたガス生成 = 最小限の備蓄
  • 設置後は移動が不要
  • すべてのメンテナンスをラボ内で完了可
  • 年中無休で稼働 - 供給の監視が不要
  • コストと管理の削減 - ガスの反復注文が不要
  • 二酸化炭素排出量の削減 - ラボのグリーン化

水素発生装置の設置作業は難しいですか?

非常に簡単です。梱包を解いて、外付けのUV保護された脱イオン水ボトルを接続し(発生装置と同じ高さまたはそれより下)、電源(10A)につないで室温に達するまで待ちます。事前清浄済みの(ガスパージ)冷凍剤用の銅かステンレス鋼の1/8インチ配管を用いてGCに接続します。

どのような配管が必要ですか?

水素は、Swagelok圧縮継手を用いて、ステンレス鋼か分析用の銅管を使用して供給する必要があります。GCへの供給にヘリウムを使用していた場合は、その配管を交換する必要があります。これは、沈澱物が経時的に配管内部に堆積している可能性があるためです。これが水素によってアプリケーションに運ばれると、長時間にわたって高いバックグラウンド信号が発生する可能性があります。

銅またはステンレス鋼の配管を接続する場合は、Swagelok圧縮継手を用いることが勧められます。接着剤(Loctiteなど)や溶接は使用しないでください。これにより、結果に影響を与え得る揮発性有機化合物(VOC)がガス供給に侵入する可能性があります。

配管が3mを超える場合は、1/4インチ配管を1/8インチにして、各GCにガスを供給する必要があります。これにより、容量が大幅に増加するため、設置がより困難になる可能性があります。

発生装置とGCの間が10m以上になる場合は、Peak Scientificまたは適格な専門家にご相談ください。

水素発生装置にはどのような水を使用するのですか?

Peak Scientificでは、1メガオーム以上の抵抗率/1μS以下の導電率純度(またはそれ以上)の脱イオン水(DI)を使用することをお勧めしています。MilliQTMの水が入手できる場合は、それを優先してお使いください。Peak Scientificは、定量給水される脱イオン水供給源に発生装置を接続することはお勧めしません。

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著者について:ニコール・ペンディーニ(Nicole Pendini)は、オーストラリアとニュージーランドのPeak Scientificのカントリー・マネージャーを務めています。以前はAgilent Technologies(アジレント・テクノロジー)に勤務し、当社勤続3年以上になるニコールは、ANZ地域におけるラボの課題、特にガス供給とワークフロー合理化に関する事柄に精通しています。

 

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